真樹の「なかゆくい」 (五休み:瀬長島)


 2012年9月、豊見城市 瀬長島に行ってまいりました。瀬長島といえば夕日のデートスポット。ここに温泉ホテルが出来るということで、建設状況を調べてきました。


 瀬長島は那覇空港の南にある島で、豊見城村発祥の地と云われています。ここは神の宿る信仰の島でもあって、多くの拝所が存在します。

 そう云われてみれば、名嘉地(なかじ)のシーサーも、田頭(たがみ)にあった2頭のシーサーも、きっちり瀬長島を向いて座っていました。

 戦後しばらくは、米軍の弾薬庫として使用されていた時期もあります。 このため、島の拝所の一部は、島に渡る海中道路の手前にある瀬長交差点の角に移設されました。

 今回は、その瀬長拝所でしっかり拝んでから島に渡ることにします。

(瀬長拝所。瀬長島から移設された拝所です。)

 島には、海中道路を通って渡ります。今日の風は、北西7.3m。 北風が吹くときは、海中道路の真上を横切って飛行機が着陸します。

 遠くから着陸態勢に入った飛行機のライトが見えると、ついついカメラを構えてしまいます。決して空オタ(航空機オタク)ではないのですが、片隅に残ってる「少年の心」がそうさせるのだと思います。

 昨日は、台風16号が沖縄に上陸し、沖縄発着の飛行機は全便欠航となりました。特に昨日今日は大潮で、高潮被害への警戒も呼びかけられました。

 大潮ということは引きも強いということで、お昼過ぎの瀬長島の海岸は、これまで見たこともないほど沖まで潮が引いていました。

(瀬長島。島の上の建物が建設中の瀬長島ホテル)


(ヤドカリ。目で周囲を窺(うかが)っています。)
 島には野球場が4面あって、休みの日は野球少年でいっぱいです。野球場の片隅には、シオマネキを模(かたど)った滑り台があるのですが、瀬長島でシオマネキを見かけたことはありません。

 ヤドカリはたくさん見かけます。よくぞ昨日の荒波に耐えたと褒めてやりたくなりました。

 ヤドカリの写真を撮るコツは、貝殻をひっくり返してしまうこと。しばらくそっとしておくと、目で周囲を窺(うかが)いながら、一気に体を乗り出してきます。


(Beach cafe アンジナ/瀬長島物産センター)
 島には、Beach cafe anjina(アンジナ)というお店があって、海を見ながらコーヒーや軽食が頂けます。 私は、この店の雰囲気が結構好きなのですが、もう少し企画する余地があると思います。アンジナは瀬長島の別名でもあり、頑張って欲しいお店の一つです。

 少し戻って島の入口付近には、「空の駅」の看板を掲げた瀬長島物産センターがあります。どうもここはウージ染め協同組合の事務所のようで、1階はウージ染め製品の展示販売コーナーになっています。

 ウージ染めと云えば豊見城の伝統工芸で、これを応援しない訳には行きません。しかし、これまでお客の入っている様子を見たことがありません。

 さて気になるのは、本来の目的であった温泉ホテルの進み具合です。外壁を覆っていた足場は、大浴場部分を除いて既に取り外され、工事は室内設備の取り付けに移っているようです。

 外溝工事も急ピッチのようで、ユンボを始め、多くの建設機械が稼働しています。

 作業員が忙しそうに動き廻っているところをみると、破たんして完成前に廃墟となった瀬底島リゾートホテルのようにはならないと思います。

 ただし、ターゲットとする客層が中国からの観光客であるという点は、尖閣諸島領土問題を抱えたこの時期、ちょっと不安を掻き立てます。

(建設中の琉球温泉瀬長島ホテル)

 領土問題といえば、瀬長島を擁する豊見城市にも、那覇市との間に領土問題(海上境界線問題)が存在します。

 那覇空港には沖合滑走路増設計画があり、新設滑走路がどれだけ豊見城市の地番になるかで、国から支払われる毎年の交付金が億単位で変わるといいますから、簡単には譲れません。

 歴史的背景の証とするために、およそ230年前に描かれたとされる「琉球国惣絵図」(りゅうきゅうこくそうえず)まで担ぎ出され、喧々諤々(けんけんがくがく)の駆け引きが行われている最中です。

「広報なは」 2011年3月号から引用


(慶良間諸島に沈む夕日)
 瀬長島紹介の最後は、何と行って慶良間諸島に沈む夕日です。 琉球温泉が完成したら、温泉に浸かりながら、あるいは湯上りのビールを頂きながら、ゆっくり観賞したいとおもいます。

 蛇足ではありますが、夕日の綺麗な翌日は天気が良いと云いますが、どうも沖縄の天気は西からではなく南東方向からやってくるようで、朝日の綺麗な当日は天気がいいようです。


 琉球温泉瀬長島ホテル開業予定は、今年12月だそうです。


 ここまでつらつらと紹介してきましたが、ちょっとは瀬長島に行ってみたい気持ちになって頂けたでしょうか?? 特に建設中の琉球温泉には、完成と同時に駆けつけたいと思います。 今回はここまでとさせていただきます。最後まで読んで頂き本当にありがとうございました!

(文・写真:梶原正範)
(このシリーズは、iPadで楽しめるように設計されています。喫茶店でお茶を飲みながら、ゆるりとした気分でお楽しみください。)
ついでに、「沖縄紀行・探訪記」「沖縄花だより」真樹の「なかゆくい」へも、ぜひ訪れてください。