真樹の「なかゆくい」 (九休み:沖縄そばじょーぐー@)


 「じょーぐー」とは、うちなーぐち(沖縄の言葉)で大好物のこと。特に沖縄そばが大好物という訳ではありませんが、おきなわ倶楽部別冊「沖縄そばじょーぐー」vol.4を何の気なしに買ってしまった縁もあり、これまで食べて比較的美味しかった沖縄そばを紹介したいと思います。これを見て、沖縄そば食べたい!と思って頂ければ幸いです。


いしぐふー小禄具志店 (こだわりは、濃厚あぐーだし) [地図]
 最初は、皆さんよくご存じの初代沖縄そば王「いしぐふー」。辺野古の北、カヌチャリゾートホテルの更に先が発祥の地らしいのですが、今では那覇市内に三店舗、浦添に一店舗を構え、今後フランチャイズ的展開を予感させるそば屋です。

 「いしぐふー」の魅力は何といってもあぶりソーキ肉の美味しさです。しかしながら、そばじょーぐー編集スタッフの評価はさにあらず、各店舗ごとの出汁(だし)へのこだわりこそが、最も注目すべきポイントなのだそうです。

 例えば、おなじみ具志店と新都心店は濃厚アグー出汁、港町店はあっさり鰹出汁、そして浦添市港川のお店は山原地鶏出汁。 ということは、全店舗の味を知らずして「いしぐふー」は語れないと云う事になってしまいました。


 次に紹介するそばは、南部八重瀬町の「屋宜家」(やぎや)。このお店は、宮古島に行った時に利用したJTA(日本トランスオーシャン航空)の機内誌「Coralway」で知りました。この冊子の出来は良く、沖縄情報誌としては圧巻だと思います。

 店の主人は、元JTAのパイロットだったそうで、建物は実家だそうです。国の登録有形文化財に指定されていて、雰囲気漂う趣です。

 お勧めは、アーサーそば(800円)。アーサーとは海藻の「あおさ」のこと、アーサーで埋め尽くされた沖縄の春の海を彷彿(ほうふつ)させる一品です。

 麺にもアーサーが練りこまれていて、淡い緑色と磯の香り溢れる爽やかな仕上がりです。麺の食感は柔らかく、とても優しい味わいです。日頃の喧騒(けんそう)を逃れ、試しに訪れて欲しいお店です。
「屋宜家」(やぎや)。 建物は国の登録有形文化財です [地図]


てんtoてん。 蔦の絡まる異様な風貌です。 [地図]
 続いてのお店は「てんtoてん」。沖縄県が発注する土木工事の虚偽契約問題で、ホットな話題を提供している識名トンネルの真上付近にお店はあります。識名宮から真玉橋を通って帰る途中に偶然みつけました。

 蔦(つた)の絡まる異様な風貌で、近寄ってみればおそば屋さん。雨宿りのつもりでに立ち寄ったのがきっかけでした。

 店の内部はセンスよくまとめられていて、使う器にも気を使っている様子が随所に窺(うかが)えます。 出汁は、豚のアクを丁寧にとったごまかしのない上品な仕上がりで、麺は腰の強い木灰仕込みのちぢれ麺。 「ん!」と唸(うな)らせる一品でした。

 駐車場には「わ」ナンバーも多く、結構人気のあるお店のようですが、どこから嗅ぎつけてきたのでしょう。


 最後はおまけで小禄の「とらや」。 ここは、どこと云って特徴があるわけでもなく、知り合いを連れてわざわざ出向くお店ではありませんが、毎日食べても飽きのこない本格派のお店です。

 麺は木灰を謳うだけあって、秋田稲庭うどんを彷彿させる歯ごたえがあり、出汁は澄んだ鰹出汁。トッピングは、しっかり煮込んで味付けされた三枚肉3枚とかまぼこに万能ねぎ少々。いたってシンプルなおそばです。

 しかし、それがかえって正統派の沖縄そばを追求する職人のこだわりを感じさせ、ここで紹介することにしました。

 器は金城一門に伝わる海老に魚紋。裏に「秀」の刻印があるところを見ると、人間国宝金城二郎の弟の孫、金城秀義の作品のようです。 ずずっと汁をすすっていくと、器の内側に描かれた目のくりっとした可愛い魚たちが泳ぎながら表に出てきます。 
木灰そば「とらや」 [地図]


 ここまでつらつらと紹介してきましたが、ちょっとは沖縄そばを食べたい気持ちになって頂けたでしょうか?? 今回はここまでとさせていただきます。最後まで読んで頂き本当にありがとうございました! 次回は、首里の美味しい沖縄そばを紹介します。どうぞご期待ください。

(文・写真:梶原正範)
(このシリーズは、iPadで楽しめるように設計されています。喫茶店でお茶を飲みながら、ゆるりとした気分でお楽しみください。)
ついでに、「沖縄紀行・探訪記」「沖縄花だより」真樹の「なかゆくい」へも、ぜひ訪れてください。