「東京・下町自転車」(浅草) 特別編:浅草三社祭り

浅草三社祭り(大行列)

 今日は2014年5月16日、浅草三社祭りの初日です。三社祭りとは「三社様」のお祭りで、三社様とは浅草神社の別名、三人の神様を奉っていることから地元の人は親しみを込めてこう呼んでいます。

 三人の神様とは、浅草寺のご本尊となっている観音像が隅田川に捨てられていたのを拾ってきた兄弟と、自らの屋敷を提供してまで寺を建て、その観音像を奉った村のお金持ち。いずれもご本尊が一般人のため社格としては最も低く、それを知ってか年間3千万人とも云われる浅草寺(せんそうじ)の観光客も、浅草神社まで立ち寄る人は僅かです。

 午後1時、三社祭りの大行列が始まりました。今年のルートは左回り、六区ブロードウェイ通りから雷門通りに入り、雷門から仲見世通りを抜けて浅草神社に向かいます。 行列はお囃子屋台を先頭に、神主と氏子総代の旦那衆が続きます。

 その後に続くのは「びんざさら舞」、びんざさらとは檜の木っ端板を百八枚重ねた楽器のことで、これを鳴らし五穀豊穣を祈願して踊る田楽(でんがく)がびんざさら舞です。さらに続くのは芸妓連白鷺の舞、白鷲の舞は浅草寺の慶安縁起絵巻を参考に浅草観光連盟によって復活されたものとのことで、実際に羽ばたく姿も見てみたかったと思います。

 ニ日目になると浅草氏子44カ町からおおよそ100基の町内神輿(ちょうないみこし)が繰り出し、三日目はこれに3基の本社神輿(ほんしゃみこし)が加わって祭りは佳境を迎えます。町内神輿といえどもあなどれず、金箔がぴっかぴかで至って豪華、本社神輿に少しも引けをとりません。

 三社祭りはあくまで神事、観光客や地元サラリーマンの予定に気を配り5月第3週の金・土・日に開催としているとは云うものの、江戸の祭りの中心は血気盛んな地元衆でありました。

 ところで江戸三大祭りと云えば神田祭りと山王祭り、そして三番目はひいきによって様々です。当然ながら浅草の人は三社祭り、深川の人は深川八幡祭りであると主張して一歩も後に引きません。掛け声や担ぎ方まで考え方が違い、これに第三者が口を挟もうものなら両方から袋叩きにあってしまいますのでご注意ください。

初日:大行列
2日目、3日目:神輿渡御(みこしとぎょ)



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(このシリーズは、iPadで楽しめるように設計されています。喫茶店でお茶を飲みながら、ゆるりとした気分でお楽しみください。)
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