「東京・下町自転車」(亀戸ラーメン便り) 後編:つけ麺・まぜ麺

まぜ麺(璃宮)/つけ麺(こてんぱん)

【つけ麺・まぜ麺】
 いろんな面で頑張っているお店は「こてんぱん」。JR亀戸駅東口のすぐ横、サンストリートに向かう途中にあってお店の立地は申し分ありません。豚骨ラーメンは豚の背脂たっぷりの典型的なチャッチャ系ですが、仕上げにマー油をひとさじ垂らしたことで味の深みがガラリと変わります。

 しかも作り方はいたって丁寧、トッピングを添える時には使い捨てビニール手袋を使います。背脂を周りに飛び散らかすようなこともせず、そのためお店の中はとても綺麗に保たれていて女性客の好感度は抜群であると思います。

 一方、つけ麺はどうかと云えばこちらは鰹風味たっぷりの魚介出汁、麺はもちもちの極太で濃厚出汁によく絡みます。しかもオールタイム大盛無料、ランチタイムには煮卵丸々一個サービスでついてきます。

 ふと、つけ汁のどんぶりを見てみればどこかで見覚えのある図柄、スカイツーリー東京ソラマチ6階に出店する人気のつけ麺屋「六厘舎」と同じです。このつけ麺は、豚骨ラーメンとは麺も出汁も完全に別物で、ひとつのお店でまったく違うラーメンが味わえます。 となれば気になるのが醤油ラーメン。こちらは煮干風味ということなので、これもひょっとしたらまったくの別物かもしれません。この辺は、次の機会にしっかり確認して見なければなりません。


こてんぱん

麺や 璃宮
 

 最後の最後に満を持して紹介するお店が「麺や 璃宮」の混ぜ麺(=油そば)。つけ麺がブレイクする中にあって、次の出番を狙うジャンルがこの混ぜ麺、迷わずお目当ての油そば750円を注文します。

 油そばを頼んだつもりがつけダレも一緒に付いてきて、これは混ぜ麺とつけ麺が同時に味わえる優れものでありました。麺は浅草開化楼の極太ちぢれ麺、トッピングとして添えられた炙(あぶ)りチャーシューは箸でつまむと簡単にほぐれます。これに天カスと鰹の削り節を一緒にして混ぜれば香ばしい香りが一気に広がり、それだけで口の中の唾液が止まりません。

 改めてメニューを見てみれば、既に閉店している姉妹店「油や」のロゴが残ったままで、恐らく混ぜ麺は「油や」のもの。「なぁ〜るほど!」と分かったようなふりをして、一人で勝手に納得しながら静かに美味しく頂きました。

 ところで急に気になり出したのは当の「油や」。店の跡地はどうなっているのだろうかと、この後自転車で訪ねてみれば、今は親子丼屋になっていました。驚くことに、やや前かがみで謙虚にお辞儀をしている着物姿のお人形さんは今なお健在。ふくよかなほっぺは、不二家のぺこちゃんを凌(しの)ぐ可愛らしさです。




前編:豚骨ラーメン 中編:塩ラーメン 後編:つけ麺・まぜ麺(今いる所) 最終編:醤油ラーメン・その他 【周辺マップ】

(このシリーズは、iPadで楽しめるように設計されています。喫茶店でお茶を飲みながら、ゆるりとした気分でお楽しみください。)
東京下町を探訪する他の記事(「東京・下町自転車」)や「沖縄花だより」「紀行・探訪記」「真樹のなかゆくい」へも、是非訪づれてください。


Author:梶原正範    Mailto:hanadayori@okinawa.zaq.jp